頭部3D-CTAの画質向上を目的としたDual detectorCTの有用性の検討
 - 第一報 -

麻生脳神経外科病院  小寺 秀一

【目的】2000年7月より当院に設置されたDual detector方式のMulti detector-row CT(MDCT)を用いて,1mm,0.5mm設定スライス厚のヘリカルスキャンにおけるスライスプロファイル,3軸方向の分解能,ノイズ特性等について,数種類のファントムによる実験を中心に評価し,特に頭部3D-CTAの画質向上を実現するために,0.5mmスライスについて有用性と問題点を検討し,Zフィルターの最適化を試みる。また,脳動脈瘤の症例に対して臨床応用も試みる。
【方法】使用機種はGE社製Hispeed Nxi Proである。ビーズファントムによるスライスプロファイル測定などの基本性能評価を行い,併せて,頭部3D-CTAを想定したスキャンパラメーターにおける3軸方向の分解能を,より臨床に則したコントラスト下で評価するために,くし型ファントムを内包した円筒ファントムを作成し,ノイズ量を加味した分解能をAxial,MPR,3D画像について検討した。また,それらの結果をもとに血管描出能の向上を目指して,Zフィルターの最適化を試みた。
【結果】今回作成したファントムによる検討から,血管描出能を向上するための,体軸分解能とS/Nのバランスの重要性が把握できた。また,特に0.5mmスライスを用いた場合のZフィルター等の検討により,臨床で頭部3D-CTAに用いるためのスライスプロファイル,ノイズ特性の最適化が実現出来た。また,症例においても,体軸方向分解能の向上による血管形状の再現性と,微小血管の描出能の改善が確認出来た。