CT彫塑を試みて


高橋脳神経外科  三上 準一

近年のコンピュータ環境に於ける技術革新は医用CT・MRI装置等の普及を容易に促し、今や全ての診断装置からの情報は完全にデジタル化されたと云っても過言ではない。このデジタル情報は、XCT・MRI・US等の様に横断像として画像が得られるものと、旧来のフイルムスクリーン系からDSA・ CR・DR等へとデジタル化された透過像に置き換えられて来たものとに大きく二分する事ができる。これらの画像情報は、叉、ワークステーション等の性能の向上に伴って、多面多次元に構築された画像が短時間にしかも簡単に得られる事となり、3次元立体視での画像観察は今や日常的に行われている。その中でも特にPCをベースとしたワークステーション市場ではアジア地域での急激な需要を考慮して、活況を呈しており正に利用者の目的に合った製品を選択する事が出来る様になっている。一方で、観察環境を考えてみると各々の診断装置より瞬時に連続して発生して来る大量の情報は新しい形式の観察を要求してきており、その特性上よりフイルム読影に比しCRT診断が適しているとは云え、一般通信同様に病院施設のネットワーク化と相まって特化、移行しブロードバンド対応をもってモニタ観察(CRT診断)数の増加に供託する傾向が伺える。しかし、このモニタ観察での作業の多くはフイルム観察での作業と変わりなく、3次元構築した画像の観察(多くは2.5次元像)が微分的に行われている。そこでより具象化を求める事をも兼ねて、3次元に構築した画像データを利用して造形するソフトウエア(マテリアライズ社Mimics)を購入し、これにて特に2次元の画像データをコンバートし再構成・補間処理過程を経て、立体物のモデルとして作成する事を試みた。人体は3次元構築物であり、モデル体での観察が実体に近似しており最も適当である事は云うまでもない。写実性が高く、より把握が容易になる等の観点から手術シミュレーション等に利用され高い評価を受ける事が出来た。しかし、現状ではモデル体として彫塑作成する最終段階は当施設内では行う事が出来ず、外注を余儀なくされている。且つ叉、高価であり症例作成のケースを選択せざるを得ない。画像情報をより密度の高い情報として提供する事が可能ではあるが問題点に付いての改善の検討も必要であった。尚、患者のインフォームドコンセントに付いては大変有意義な結果をもたらしたので、重ねて報告する。