FPD搭載血管造影装置コーンビームCT(Dyna-CT)における画像特性


先端医療センター  木村 英理

FPD搭載血管造影装置 AXIOM Artis(シーメンス社製)は、約200度の回転3D撮影を行い、CTのような断層画像(Dyna-CT)を得ることができる。従来の造影血管や骨構造といった高コントラスト領域の描出に加え、軟部組織や末梢血管等の低コントラスト領域の形態把握が可能となり、血管造影検査だけでなく整形領域、腹部領域等その有用性が報告されている。しかし、得られた画像は従来のCTと比較し、低コントラスト領域の描出不良、前・中央・後と場所による濃度のムラ、高吸収体からのアーチファクトなどかなり特徴のある画像である。そこで、自作ファントム等を用いDyna-CT画像の画像特性について検証を行った。様々な実験より従来のCTと比較し特徴の多い画像ではあるが、撮影目的にあわせた撮影時間・管電圧の選択、造影タイミングの設定を行うことでアーチファクトの低減・画質の改善は可能である。実際の臨床画像において、血管の走行はもちろんのこと、骨と腫瘍の関係、腫瘍の範囲、エンボリの範囲など十分に確認することできる。Dyna-CTは手技中にCT室に移動したり、Cアームを待避させたりすることなく、CTのような2D/3D画像を表示することできるため、新しいインターベンションツールのひとつとして注目されている。今後さらなる画質の向上、ワークフローの効率アップ、被曝線量の低減などが期待される。